ひとつの国や地域を決めて、その土地のことを歴史からも政治からも経済からも見ていく学問です。「フランスの文学」や「中国語」のように分野をしぼるのではなく、「フランスそのもの」「中東そのもの」を対象にします。入口として言語を学ぶところが多いですが、言語の研究そのものが目的ではありません。
ふつうの学部は「歴史学科」「経済学科」のように学問で分かれています。地域研究はその逆で、対象の地域を先に決め、歴史の調べ方、政治や経済のしくみの見方、社会のとらえ方、思想や文学の読み方といった方法を、問いに応じて選びます。東京大学の地域文化研究分科は、イギリス・フランス・ドイツ・ロシア東欧・北アメリカ・ラテンアメリカ・アジア日本・韓国朝鮮のコースに分かれていて、どのコースも、使う方法としてほぼ同じ学問の並びを挙げています。
対象の地域の言葉を高い水準まで学ぶところが多く、東京大学の韓国朝鮮研究コースは、卒業に必要な言語科目22単位のうち18単位を朝鮮語で取るよう定めています。東京外国語大学の地域コース(中東)は、アラビア語・ペルシア語・トルコ語という専攻言語に対応する形で地域を学びます。ただし言語そのものの構造を調べるのが目的ではなく、その言語で書かれた資料を読んで地域を理解するための道具として学びます。
その地域がどう形づくられてきたかを見ます。埼玉大学の教養学科(アメリカ研究専攻)は「アメリカ史概論」で南北戦争以降を扱い、ヨーロッパ文化専攻は古代ギリシアから第一次世界大戦期までの建築・絵画・小説を扱います。
いまの地域を動かしているしくみを見ます。早稲田大学の中東・イスラーム文化プログラムは、宗教対立という単純な構図に頼らずに国際情勢がどう形づくられたかを歴史と文化から考えます。
人のつながりや信仰のあり方を見ます。西南学院大学の国際文化学科(アメリカ・太平洋文化コース)は、アメリカを、多くの民族が暮らす国であると同時にキリスト教が土台にある社会として見ます。
ジェンダー、人種、環境、グローバル化といった、いま起きていることも対象です。同志社大学のアジア太平洋コースは文化衝突・民族移動・環境問題・ジェンダー・持続可能な開発を扱います。
文学・美術・音楽・大衆文化も地域を知る手がかりになります。同志社大学のアメリカコースは大衆文化やジェンダー観を、埼玉大学のアメリカ研究専攻はエンターテインメントを扱います。
東京大学の各コースは、まず地域の全体像をつかむ授業を受け、そのあと自分の関心に合う学問を選んで卒業論文へ進む組み立てです。先に地域の全体像を持ち、そのうえで自分の問いを決める順です。
その地域の言葉で書かれた資料を自分で読むことが研究の土台になります。東京大学のコースでは、深い地域理解に欠かせないものとして高度な外国語の力を挙げています。
ひとつの地域の中だけを見るのではなく、他の地域とのつながりも対象です。同志社大学のアメリカコースは、その地域の内側にある違いと、ほかの地域とのつながりの両方からアメリカをつかむことを掲げています。早稲田大学の中東・イスラーム文化プログラムは、中東の外にも世界中へ広がったイスラーム社会までを対象にします。
特定の国や地域に強い関心があり、その土地のことを一面からではなく何通りもの見方で知りたい人に向いています。外国語を学ぶことが好きで、しかも語学そのものより「その言葉で何が読めるか」に関心がある人にも合います。逆に、ひとつの学問の方法を深く身につけたい場合は、歴史学や政治学のように学問で分かれた学科のほうが合うことがあります。
この学問にピンときたなら、きみの好き・得意をボクに教えてよ。地域研究以外にも、きみに合いそうな学問の島がまだあるかもしれないから、一緒に探しに行こうよ。
地域と語学の両方を知っていることが活きる進路が多く、商社・メーカーの海外部門、旅行・観光、報道、公務員、国際機関、日本語教育などに進む人がいます。大学院に進んで研究を続ける人もいます。地域研究の学科は国立にも私立にもあり、2026年10月時点でシンロノズカンが把握している17の学科・コースは7つの大学に置かれています。
国際関係学は国と国との関わり・国際協力・紛争などを扱います。地域研究はひとつの地域の中を対象にする点が違います。どちらも学際的ですが、見る単位が「国家間」か「地域の内側」かで分かれます。
言語ごとの学科は、その言語の運用力を高めながら文学・思想・社会を研究する形が多いです。地域研究は言語を入口としつつ、歴史・政治・経済・社会まで方法を広げます。実際、シンロノズカンが地域研究に当たると判断した17の学科・コースのうち8つは、ほかに学問領域が1つも付かないものでした。
違います。地域づくり・まちづくりは、日本の地域の課題解決や活性化のための政策・活動を学ぶ分野です。地域研究は、世界の特定の国や地域を対象にします。
2026年10月時点でシンロノズカンが把握している17の学科・コースでは、アメリカ・北アメリカ・ラテンアメリカ、イギリス・フランス・ドイツ・ロシア東欧・ヨーロッパ、中東、アジア太平洋・アジア日本、韓国朝鮮が対象になっています。大学によって置いている地域が違うので、志望校ごとに確かめてください。
歴史学・政治学・経済学・社会学・哲学・文学・言語学など多様な研究方法を用いてイギリスを多角的に学ぶコース。地域全体を概観する授業を受けたのち…
歴史学・政治学・経済学・社会学・哲学・文学・言語学など多様な研究方法を用いてフランスを多角的に学ぶコース。地域全体を概観する授業を受けたのち…
イスラーム教徒だけでなくユダヤ教徒・キリスト教徒も含む中東の多宗教共存や、中東を越えて世界各地に広がるイスラーム社会を学ぶプログラム。「イス…
アメリカを中心とする環太平洋エリアの歴史と文化、思想と宗教を、多角的かつダイナミックに把握することが目標のコース。米国を多民族国家かつキリス…
ヨーロッパ・アメリカ文化専修課程の1専攻。言語・文学・思想・絵画・彫刻・建築・生活・政治など多彩な主題を扱う。「ヨーロッパ研究入門」では古代…
ヨーロッパ・アメリカ文化専修課程の1専攻。人種・ジェンダー・セクシュアリティ・環境問題・グローバリゼーション・エンターテインメントといった現…
アメリカの文化・社会・政治・経済を学際的なアプローチで研究し、幅広い知識と批判的思考力を養うメジャー。「アメリカ入門」でアメリカの成り立ちと…
専攻言語のアラビア語・ペルシア語・トルコ語に対応する地域コース。中東・イスラム世界の言語学・文学・芸術・思想・宗教・現代文化を重点的に学び、…
グローバル地域文化学科で分かれる3コースの1つ。英語ともう1つの外国語を軸に2言語の習得をめざしながら、アメリカの歴史や人種・民族、大衆文化…
グローバル地域文化学科で分かれる3コースの1つ。中国語・コリア語・英語の高度な言語運用力を身につけながら、文化衝突や民族移動、環境問題、ジェ…