シンロノズカン
📊 調査レポート

学問領域の都道府県分布調査2026 AI分析レポート —全県で学べる分野と、15県に無い分野—

全国に178校ある分野と、168校ある分野。大学の数は10校しか違いませんが、県内に1校もない県は0県と15県に分かれました。

シンロノズカンは、全国にある国公立大学・私立大学のうち773校(全学が通信制課程のみの大学を除く)を対象とした調査を実施しました。10,158の学科コースを、シンロノズカンによる独自定義の179の学問領域で分類し、都道府県ごとに「その分野を学べる大学が何校あるか」を集計しています。この調査は、学科コースの分類と集計までを機械的に行い、その結果の分析と考察はAIが行っています。元になる数字は、文部科学省の公表統計とシンロノズカンのデータベースです。数字と出典は公開前に当社が確認しています。

  • 全国の大学数が近い分野でも、県内に1校もない県の数は大きく違う(教育学178校は0県、マーケティング・流通168校は15県)。
  • 分野ごとの分布の広さは、その分野を置く国公立大学がいくつの県にあるかと重なっている。
  • 47都道府県すべてで県内に2校以上あるのは、179分野のうち看護学だけ。

2026-09-13更新: 比較する分野をスポーツ科学から教育学に変更し、構成を見直しました。あわせて、全学が通信制課程のみの大学9校を数値から除きました。

公開日: 2026-09-11(最終更新日: 2026-09-13)

📊 調査結果

都市圏に集中する学問と、全国で専攻できる学問の傾向

ある分野を「地元で学べるかどうか」は、これまで「その県に大学があるか」で語られてきました。今回、都道府県ごとに校数を数えたところ、全国の大学数が近い分野のあいだでも、県内の様子が大きく違うことが分かりました。

見出しの「都市圏」は東京都・大阪府・愛知県を指します。下の表の「上位3県」は分野ごとに変わるので、必ずしもこの3県ではありません。

教育学とマーケティング・流通は、全国の校数が近い分野です。

教育学マーケティング・流通
全国校数178168
県内0校0県15県
県内1校のみ17県9県
県内2校以上30県23県
上位3県が占める割合33%49%

全国の校数の差は10校(6.0%)ですが、県内に1校もない県は0県と15県に分かれました。教育学は47都道府県すべてに1校以上あり、マーケティング・流通は15県に1校もありません。県内に2校以上ある県は30県と23県で、7県の違いです。

ただし、教育学が17県では1校だけである点は見落とせません。この点は、後で指標の読み方と合わせてもう一度見ます。

マーケティング・流通は上位3県(東京都51校・大阪府20校・愛知県15校)に49%が集まっています。教育学の上位3県は東京都34校・愛知県14校・京都府11校で、合計33%です。

図の色は、濃いほどその県で学べる大学が多いことを表します。斜線は1校もない県です。

図1 教育学。県内に1校もない県は0県ですが、1校のみの県が17県あります。6校以上ある県が7県です。
図1 教育学。県内に1校もない県は0県ですが、1校のみの県が17県あります。6校以上ある県が7県です。
図2 マーケティング・流通。東京都だけで51校ある一方、15県には1校もありません。
図2 マーケティング・流通。東京都だけで51校ある一方、15県には1校もありません。

図を見ると、全国の校数が近い2分野でも、県内の様子はここまで違います。全国に何校あるかと、自分の県で選べるかは別の話です。

違いは、国公立がどこにあるかと重なっている

全国校数が近い2分野で差が出る理由を探すため、設置区分の内訳を見ました。

教育学マーケティング・流通
国公立72校33校
私立106校135校
国公立が立地する県47県22県

国公立の校数は72校と33校で、教育学のほうが多くなっています。差はそれだけではありません。その国公立がいくつの県にあるかを見ると、教育学は47都道府県すべて、マーケティング・流通は22県でした。校数の差より、立地の広がりの差のほうが大きく出ています。

ただし、この関係だけで分布が決まるわけではありません。県内に2校以上ある県の数は、まず全国校数に強く引きずられます(全国30校以上ある114分野での相関係数0.93)。全国校数の影響を取り除いたうえで国公立の立地の広さとの関係を見ると、相関係数は0.41になります。全国校数が15%以内で揃う分野の組は827件ありました。このうち、国公立の立地の広さにも2校以上ある県の数にも差がある711組で比べると、国公立が広く立地する側が上回った組は436組(61%)でした。

つまり、国公立の立地の広さは効いているが、それだけでは決まらないという程度の関係です。本調査のデータで言えるのはここまでで、なぜそうなっているかまでは言えません。

健康や教育の分野は、専攻できる大学が多く、地方にも広がっていた

全国校数を揃えずに、多い分野だけを見ると、別の形が出ます。全国230校から360校の範囲にある分野は3つしかありません。看護学・心理学・子ども学/幼児教育です。

分野全国校数県内0校県内1校のみ県内2校以上国公立が立地する県
看護学2950047県46県
心理学28708県39県37県
子ども学・幼児教育2431県11県35県31県

3つとも広く分布している側で、地方の大学にも置かれていました。3分野しかないので、全国校数が多ければ必ずこうなる、とまでは言えません。この範囲ではそうなっている、というところまでです。

なかでも看護学は、179分野で唯一、47都道府県すべてで県内に2校以上ある分野です。全国295校のうち国公立が96校あり、それが46県に立地しています。全国校数も国公立の立地の広さも、どちらも上限に近い分野がこうなる、という端の例として置けます。

図3 看護学。0校の県も1校だけの県もなく、18県では6校以上あります。図1・図2と同じ塗り分けで、斜線の県も、いちばん薄い色の県も1つもない唯一の分野です。
図3 看護学。0校の県も1校だけの県もなく、18県では6校以上あります。図1・図2と同じ塗り分けで、斜線の県も、いちばん薄い色の県も1つもない唯一の分野です。

集中度が低いことは、選べることを意味しない

ここまで3つの分野を見てきましたが、最後に指標の読み方をひとつ。

はじめの表で、教育学の上位3県は33%、マーケティング・流通は49%でした。集中度だけを見れば、教育学のほうが全国に散っています。県内に2校以上ある県も、教育学は30県、マーケティング・流通は23県で、教育学のほうが多くの県で選べます。

それでも教育学は、17県では県内に1校だけです。

上位3県への集中度は「どこかに偏っていないか」を測る指標で、「県内で選べるか」は測っていません。全県で学べることと、県内で選べることは同じではありません。指標を1つだけ見ると、評価を誤ります

この調査で使った「学問領域」について

大学の分類は、ふつう学部名で行われます。ただし学部名は、同じ内容でも大学によって違います。メディアを学ぶ学科は、文学部・社会学部・情報学部・芸術学部のどこにも置かれています。学部名で数えると、同じことを学べる大学が別の分野に散ってしまいます。

シンロノズカンは、10,158の学科コースを、学部名ではなく学ぶ内容で分類しました。各大学の公式サイトに載っているカリキュラム・研究テーマ・取得できる資格を読み、179の学問領域に割り当てています。1つの学科コースには、主となる領域と副となる領域の両方を付けています。

これは当社の独自分類で、文部科学省の分類や大学設置基準の区分とは一致しません。本調査の基準日(2026年9月9日)時点では179分類で、その後180分類になりました。

本調査で言えること、言えないこと

本調査が示すのは、学問領域ごとの大学の分布です。

  • 「マーケティング・流通は、上位3県に49%が集まっている」——分布の事実です。
  • 「地元では学べない分野がある」——分布から確認できます。
  • 「国公立が広く立地している分野ほど、県内に2校以上ある県が多い傾向がある」——全国校数を揃えたうえで、相関係数0.41の範囲で言えます。
  • 「国公立の立地が、地元で選べるかどうかを決めている」——本調査のデータでは言えません。
  • 「だから都市部への進学が増えている」——本調査のデータでは言えません。

県内に大学があっても、その生徒が通えるとは限りません。北海道のように同じ県の中でも通学が難しい地域があり、逆に首都圏・関西には県境を越えて通える地域があります。本調査は通学の可否を測っていません

高校生が実際にどの大学へ進学したかの統計は本調査に含まれていません。進学先の偏りについては、分野の分布という背景の1つとして扱うにとどめます。

🔍 調査方法

  • 基準日: 本調査は2026年9月9日時点のデータで集計しています。学問領域はその後180分類になりました。大学数・学科コース数も、その後の更新で変わることがあります。
  • 対象: 全国にある国公立大学・私立大学のうち773校。学部を持たない大学院大学は対象に含みません。
  • 集計単位: 学科・コース単位で学問領域タグを付け、大学単位で集計しました。主となる領域と副となる領域の両方を数えています。このため、学科名だけでは分野が判別できないもの(例: 政治学科(政治とメディア研究コース))も含まれます。
  • 学問領域: シンロノズカンによる独自定義の179分類です。文部科学省の分類や大学設置基準の区分ではありません。
  • 集計の単位: 都道府県を単位にしています。隣接県は加えていません。これは「都道府県内なら通える」という意味ではありません。首都圏・関西には県境を越えて通学できる地域が多くあり、一方で北海道のように、同じ県の中でも通学が難しい地域があります。都道府県は、通学できる範囲と一致しません。公表統計と突き合わせられる単位として、都道府県を選びました。
  • 複数キャンパス: 複数キャンパスを持つ大学は、キャンパスのある県それぞれに1校として数えました。このため、全国校数と47都道府県の校数の合計は一致しません。上位3県が占める割合は、47都道府県の校数の合計を分母にしています。
  • 通信制: 全学が通信制課程のみの大学9校は、数値から除きました。どの都道府県からでも学べるため、所在県の校数に数えると、その県で選べる大学の数を正しく表せないためです。通学課程と通信課程を併設する大学は含めています。
  • 募集停止: 既に募集を停止した学科コースと、2027年度以降の募集停止が公表されている学科コースを除きました。本調査は、2027年度入試を受ける高校生が出願できる選択肢を数えています。
  • 開設予定: 2027年4月開設予定の学科コースは含めました。2027年度入試で出願できるためです。設置認可の答申が出たもの・届出が済んだものは含め、設置認可を申請中のものと、設置を構想中のものは、開設が確定していないため除きました。
  • 定員: 使用していません。データの欠測が多いためです。
  • 主と副: 1つの学科コースに、主となる領域と副となる領域を割り当てています。分野によって「主として置く」割合は大きく違い、足切り後の114分野の中央値は64%です。
  • 足切り: 分野別の比較は全国30校以上の114分野に限りました。30校未満の65分野についても数えており、「県内に2校以上ある県」が最も多い分野で7県でした。
  • 相関: 本稿の相関係数はピアソンの積率相関係数で、114分野を1件ずつ数えたものです。全国校数を統制した偏相関係数もあわせて示しています。

📖 分野の定義

  • 教育学: 人が学び育つ仕組みと、教育の制度や歴史を研究する分野です。全国178校(うち主として置く大学は83校)。
  • マーケティング・流通: 商品が作り手から買い手に届くまでの仕組みと、何が売れるのかを調べる方法を学びます。全国168校(うち主として置く大学は18校)。
  • 看護学: 病気やけがのある人、その家族を支える知識と技術を学び、看護師・保健師・助産師の国家試験受験資格につながります。全国295校(うち主として置く大学は293校)。

引用について

本調査の内容は、出典の明記と本ページへのリンクの設置を条件に、ご自由に引用いただけます。図表もあわせてご利用いただけます。

※調査時点は、各レポートの図に記載しています。

新聞・雑誌・テレビなど、リンクを設置できない媒体では、リンクに代えて「シンロノズカン大学受験情報 調べ」とご表記ください。

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岬トモルン(にっこり)

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